しぃえす☆第一話 (後編)
こんばんは。
人によってはおはよう、はたまたこんにちはだろうか。
執筆につき徹夜3日目に突入したシェルです。
なんと身内での高評価に伴って続く運びとなりました!
イエェーーーい!
さて、今回はついにゆめとアド部長の対戦がはじまります。
キャラ崩壊してる人が約一名・・・?二名?
まあ読んでのお楽しみ!
それでは本編をどうぞ!
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「いやですよ。私もうルールもちゃんとはおぼえてないんですから。それに勝ったら入れ、ってのもおかしいですし。」
速攻で断った。
「そ、そこをなんとか、お願いできないか?絶賛人数不足なんだ!」
まさか断られると思ってなかったのか、明らかに動揺した口調で部長が言う。
当たり前だと思うんだけどな、だって思い入れとかもないし、ほかの部活も見たいし。
「じゃ、じゃあ私に勝ったらこの部屋から出してやる!それまではこの部屋から絶対出さないぞ!それでもいいのか!?」
「…はいはい、いい加減にしてください。流石にそれは犯罪です。」
私と部長の間を遮るように霧香さんが割って入ってくれた。
困りきっていた私には、救いの女神が現れたような気持ちだ。
霧香さんは手に持っていた雑誌を丸めると、そのまま部長の頭を容赦なく殴りつけた。とても痛そうだ。
そういえば今殴りつけたとき霧香さんの手が消えて見えたんだけど…。本当に何者なんだ…?
「…っ痛ぅ……。何すんだ霧香!?」
「…自業自得です、反省してください。それとももう一発、行きますか?」
「そ、それはかんべんしてくれ…。」
本当に痛かったのか涙目で懇願する部長。なんでだろう、かわいい。
「だ、だが、霧香、お前もこの部の人数不足はわかっているだろ??何とかしないと本当に…。それに、あのお姉さんの妹だぞ??欲しくないはずがないだろう!」
あの、って何のことかな。一体姉さんはどんな存在だったのかな…?
「…そ,それは、そうですけど。でも、無理やりは良くないです。交渉で勝ちとってください。」
霧香さんもそう、思うのか。一体私とお姉ちゃんがどうだというんだろう、気に、なってしまう…。
「霧香さん、やっぱり、私一回対戦します、それで勝ったら約束通り入りますよ。」
自分でも知らない自分のことがある、っていうのはやっぱりもやもやする。
勝って、この部活で聞きたいことが山ほどある。
「ほ、本当にいいのか?特にメリットはないんだぞ?」
「はい、少し気になることができたので…。」
急に手のひらを返したことに部長はとても驚いたようだ。
「よし、ならデッキは奥の部屋にある、好きなデッキを使ってくれて構わないし、好きなように改造しても構わない。ルールは一本勝負でいいか?」
「…っ、はい、わかりました。」
急に真剣な顔になって部長が私に問うてきた。まるで、お前を見極めてやる、といわんばかり。最初に勝ったら入れ、っていうのは負けるようならいらない、ってことだったみたい。
ちょっと部長が怖くて身震いしちゃったけど、自分の運を信じて全力で戦ってみよう。
…あれ?私、そういえば…。
「あ、ごめんなさい、その前にルールとか教えてもらってもいいですか?」
「「…」」
霧香さんも部長もポカンとしてしまった。でも、私最初に言ったもんね、覚えてない、って。
あと、部長から剣呑さが少し取れたよ。
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一通りルール説明をしてもらった。
知らない間にいろんな種類のカードが追加されててびっくりしちゃった。特についんぱくと?とかいうのは本当に驚いちゃった。
「さて、じゃあそろそろデッキを選ぼうかな。」
説明を受けた後、私は奥の部屋に通された。そこには数十種類に及ぶデッキの数々が!
これらは全部部長が姉から譲り受けたカードで作ったんだって。どれだけもらったんだろう…。
それと壁が全部ショーケースみたいになっててたくさんのカードが所狭しとならバラれていた。この中のカードも全部好きに使っていいらしい。
一通りデッキを見たけど見たことないカードばっかりでどうしたらいいのか分からなくなっちゃった。だから、昔お姉ちゃんが良く使ってたカードが入ったデッキを選んでみた。
あと、私が好きだったカードも文明的に入りそうだったから入れてみた。知らないうちに殿堂入りしてたらしくて1枚しか入れられなかったんだけどね。
あぁ、不安だなぁ。勝てなくても損はないけど、やっぱりもやもやは晴らしたいもんね。
頑張ろう。
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「…さて、じゃあお二人とも準備ができたみたいなので始めていきましょうか。私は今回のジャッジと実況、解説を担当させてもらいます。」
「実況、解説、って要るんですか…?」
純粋に疑問だ。誰に向けたものなんだろう…。
そして何よりも霧香さんがすごくソワソワしてて二ヤついちゃってる!こんな感じのキャラだったっけ、この人!?
「あー、とりあえずそのままにしておけ。止めると面倒くさいことになるから…。」
少し遠い目をして部長が言った。確実に昔何かあったんだろうなぁ…。
「…じゃあ始めていきますよ!お互いにデッキを交換してシャッフルしてください。」
少し(?)テンション高めの霧香さんの掛け声とともにお互いのデッキを交換した。
どうしよう、なんか緊張してきちゃった…。
「…そんなに硬くならなくて大丈夫ですよ、もっとリラックスしていきましょう。」
見かねた霧香さんが微笑みながらこえをかけてくれた。
その優しい微笑みがどこかお姉ちゃんと重なって、お姉ちゃんがついてるような安心感を得た。
よし、落ち着いてきた。
シャッフルをこなしてお互いのデッキを相手に返す。
そしてデッキを並べていく。
相手の場には謎の文字で書かれたカードが。確かドキンダム、とかいうやつだったよね。
お互い超次元ゾーンはなし。
手札、シールド、ドキンダムの封印の枚数を確認して、ようやく準備が整った。
あとはジャッジの開始の合図を残すのみ。
「…さて、じゃあ始めていきましょう。」
いよいよだ、始まる。
「…行くぞ!デュエマ、スタート!!」
とてつもない大声に面食らってしまう。
え、霧香さん、本当に霧香さん?
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ここからは私、隼霧香の実況でお送りしていきます。
まずはじゃんけんからです。
ゆめ選手がグー、照選手がチョキでゆめ選手先攻で開始となりました。
「私、じゃんけん負けたことないんですよね。」
「ほう、やっぱりそうか、そうじゃなきゃな。」
「うーん、とりあえず色を確保しておきたいよね。マナにおいて、エンドです。」
まずはゆめ選手、問2 ノロンチャージでスタート。
「墓地ソースか。いいチョイスだな。」
対する照選手はホーリーをチャージしてエンド。まだ何のデッキかは確定しませんね。
ここでいったん、両選手の手札を確認してみましょうか。
ゆめ:戦略のDH アツト、龍装鬼オブザ08号、百万超邪クロスファイア、終末の時計ザ・クロック
照:ヘブンズ・フォース、一撃奪取トップギア、暴走 ザバイク、轟く侵略レッドゾーン、熱き侵略レッドゾーンZ
照選手が2tZ、レッゾまで行けるハンドですね。
対してゆめ選手もかなりいいハンドだといえます。トップオニカマスなら最高ですね。
「ドロー、んーと、…クロックをチャージして、2マナでアツトを、バトルゾーンに出します。」
残念ながらトップはイワシン。ですが墓地を肥やせるので2番目にいいトップかもしれないですね。
「効果で2枚ドローします。えっと、じゃあこのイワシン、ってやつを2枚捨てますね。」
「イワシンの効果で1枚引いて、じゃあまたイワシンを捨てます。」
「イワシンの効果でもう一枚引いて、あ、またイワシンだったのでもう一枚捨てます。」
「イワシンの効果で引いて、スパイナーを捨てます。」
「…は?」
は?
これはもう決着がついたといえるんじゃないでしょうか。
部長も驚きで手が震え始めてますもん。
「お前、それは、流石に…。」
今にも崩れ落ちそうな部長。
見てるこちらも可哀そうに思えてきます。
「じゃあG・ゼロでクロスファイアをバトルゾーンに出します。そのままダブルブレイク!」
やはりといいますか走り始めましたね。ここでためる理由もないですしいいプレイングだと思います。
そうして照選手のトリガーチェックです。トリガーは…、ヘブンズ・フォースを宣言!
「ヘブンズ・フォースの効果で防鎧をバトルゾーンに出す。」
先ほどまで持ってなかったので防鎧は盾から来たみたいですね。
「ターンエンドします。」
「じゃあ、私のターンだな。ドロー。」
2ターン目にして早くもピンチの照選手。引いたトップはザ・ゼット。
「少し考える。」
1ターンためるか悩んでいるみたいですね。
ここで下手に攻撃すると、裏目は…、スパイナーでしょうか。防鎧はオブザもGTもケアできますから残しておきたいでしょう。もし爆撃男が入ってたとしても1枚なら耐えられますし。
「ザバイクをチャージしてトップギアを召喚だ。ターンエンド。」
やはりためて来ましたね。
あいてにバルチュリスが入ってたとしてもこのターンは出ませんから恐らく死なないと踏んだ、という事でしょう。
「じゃあドローします。えっと、クロックをマナにおいて、そのままクロスファイアでダブルブレイクします!」
照選手のシールドチェック。
トリガーは、ホーリー!
照選手おぞましいシールド運ですね…。
「うーん、何もできないのでターンエンドします。」
ゆめ選手あと1枚シールドをブレイクできれば勝ちですね。
照選手追い込まれた、かに見えますが頬がかなり緩んでますね。
ニヤついていて正直少し気持ち悪いです。
「よし、私のターンだな。ここで決着をつけてやる。」
「ドロー!妨鎧をマナにおいて、トップギアの軽減で3マナで轟速ザ・ゼットをバトルゾーンへ!封印を一枚はがす!」
オタク特有の早口。ウザいです。
「ヒエッ――――」
ほら、ゆめ選手もビビってるじゃないですか。あとでお仕置きですね。
「ザ・ゼットでアツト攻撃時、侵略レッドゾーンZ、レッドゾーン!効果でクロスファイアを破壊してそのまま右端のシールドを焼却だ!」
照選手やはりというかうまいですね。
これなら返しのターンで死ぬことは————
「あ、じゃあシールドから墓地にキューブリックが置かれたので防鎧を手札に戻しますね。」
…ありますね。
「嘘だろ!?私そんなカード入れてないぞ!?」
「改造していいって言われたので…。」
部長の顔がみるみる青白くなっていってますね。
まさに天網恢恢。
「クッ、ターンエンドだ!」
ここで追い打ちをかけないあたりは流石ですね。ホーリーというブロッカーを1つ残していますから5000GT 以外なら問題ないはずです。
「私のターン、ドローします!。」
引いたカードは、5000GT !お見事です。
ですが手札には火文明のカードがほかにないですね。
ゆめの手札にはオブザ、オブザ、5000GTのみ。
恐らく5000GT をマナにおいてオブザを終焉の開闢として使えば5000GT着地まで行けますが、つい先ほどまでツインパクトを知らなかったゆめ選手に使いこなせるのでしょうか。
「うーん、分からない……。…。…。…。」
案の定頭を抱えている様子です。
頭を抱えたまま座り込んでしまいましたね。体調不良、ですか?
バッ――
やっと、立ち上がりました。体調は大丈夫なのでしょうか?
「フッ、いけますね。」
不敵な笑みを浮かべていますね。
明らかに顔つきが先ほどまでと違います。
え、あれは、本当にゆめちゃん、です、か…?
「5000GTをチャージ、オブザをツインパクト、終焉の開闢として使用。5000GTをマナから回収します。墓地にクリーチャーは11体、そのまま1マナで5000GT。」
「…。」
「5000GTの効果で破壊ですよ?天戸部長。」
「あ、ああ。そうだな。」
「じゃあターンエンドです。」
((なんだ、この重圧は…?))
部長も私も同じことを考えているみたいです。
しかもバイクを理解しているからこその殴らない、というプレイング。さっきまでのゆめちゃんなら殴ってたはずなのに…。
「…私のターン、ドローしてターンエンドだ。」
「私のターン、ドロー。少し考えます。」
当然のごとくゆめちゃんがシャカパチを始めた——。
もう、何も、分からない。別人?これは、一体?
「…再び3マナで終焉の開闢。墓地からクロスファイアを回収。そのままG・ゼロでクロスファイア。5000GTでシールドをブレイク。」
トリガーチェック、トリガーはなし。
「クロスファイアでダイレクトアタック。」
こうして初めてのガチンコ対決はゆめが勝利を納めたのだった。
————バタッ
「ゆめ、おい、ゆめ、どうした!?大丈夫か!?」
え?
おまけ(本編読み終わってから見てね)
↓下に配置してあります
さて、今回の対戦で部長は一度プレイングミスを犯してましたね。
それはトリガーでホーリーが出たあのタイミング。
返しのターンで部長はZ,レッドゾーンと動いてアツトとクロスファイアを破壊してしまっています。
あの盤面であればマナは3、+1(次ターンのチャージ)墓地は6、Z焼却で1、クロスファイア、アツト+2、で13となってしまうので5000GT直出しでお陀仏です。アタック先にクロスファイアを指定して、レッドゾーンのみ上に置く。防鎧で1打点盾をアタック、これで5000GTを完ぺきにケアしつつ(出させない、という意味で)、次のターンでジャスキルが通ったはずです。
(防鎧ワンパンでスパイナーを踏まないならば。)
さて、なぜこんなプレミをしたか(させたか)、それは…。
当初の予定では実は赤緑バイクを握らせる予定だったのです!
赤緑であるがゆえにヤドックでケアして殴ってるところにキューブリックで熱い展開! と考えていたのですが、それだとゆめが後攻であることが前提になってしまう!(ゆめはじゃんけんに負けない)
というわけでフォースで追いついてワンチャンス作れる赤白になりました。
赤白ですと色々とケアできるのでどう考えても部長の勝ちでした。
事故らせてもいいけどそれじゃ面白くない、そういう経緯でこのような運びとなりました。
以上裏話でした!
作中のプレイングで疑問などあればドシドシどうぞ!
それではまた次回をお楽しみに!